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高血圧の話

血圧を評価する方法には、①病院・医院などで測る診察室血圧、②自宅で自分で測る家庭血圧、③病院・医院で特殊な機器をつけて、30 分または1 時間ごとに血圧を測る24時間血圧(この場合、日中、夜間、24 時間それぞれについて機器が出してくれる平均値を用います)の三つがあります。

一般的には診察室血圧と家庭血圧が用いられ、座位で測定します。

通常、病院に行くと緊張して血圧が上がることが多いため、家庭血圧は診察室血圧より収縮期、拡張期ともに5mmHg 低めです。

最近の研究で、心血管病(脳卒中や心筋梗塞など)の発症を予測する方法として、診察室血圧よりも家庭血圧の方が優れていることがわかってきました。

このことは、高血圧の診断でも、診察室血圧より家庭血圧の方が信頼性が高いことを示しています。

そのため、高血圧学会のガイドラインでも、高血圧の判定では、診察室血圧よりも家庭血圧にもとづくほうを優先するとしています。

家庭血圧を診断や治療に上手に用いることで、正確に診断することや、治療の効果をより高めることができます。

家庭血圧は、朝(起床後1 時間以内、排尿後、食前)と夜(就寝前)の1日2 回測定します。

朝・晩とも血圧は2回測って、その平均の血圧値をとることになっています。

測った血圧値はすべて血圧手帳(病院や薬局でもらえる事も多いです)などに記録しておきましょう。

家庭血圧の評価で大切なことは、診断でも治療時においても5 ~7 日間の平均値で判断することです。

また血圧計は、上腕にカフを巻くタイプを用いるようにしてください。

血圧はいろいろな条件で変動します。

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家庭や職場などではいつも135/85mmHg 未満で正常(域)血圧である人が、診察時には緊張して血圧が上がり、高血圧基準である140/90mmHg を超えることがあります。

近年、家庭血圧計が普及し、多くの人が家庭で血圧を測るようになりました。

そこで、診察時は高血圧でも家庭血圧は正常を示す人と、診察時・家庭血圧両方とも正常な人を比較して心血管病 (脳卒中や心筋梗塞など)の発症を調べたところ、 両者に差がないことがわかりました。

つまり、 家庭血圧を測定して多くの時間帯で正常血圧であれば、 診察時のみ血圧が高くても治療する必要はないということです。

この診察時のみ(白衣の前では)緊張して血圧が高くなる例を白衣高血圧と呼び、降圧薬による治療は必要のないタイプとされています。

ただし、白衣高血圧は将来、治療が必要な高血圧になる可能性が高いので、血圧測定は定期的に行うようにしましょう。

家庭血圧測定は朝・夜の2回測定が原則ですが、 職場やその他の活動で血圧が高くなる場合もありますので、朝・夜以外にも血圧を測ってほかの時間帯でも血圧が正常であることを確認してください。

白衣高血圧とは逆で、健康診断や診察時は正常なのに家庭や職場での血圧が高い人がいます。

そのような例は、診察時には高血圧がかくれていることから仮面高血圧と呼ばれています。

仮面高血圧の場合、診察時以外の多くの時間帯で血圧が高く血管に高い圧力がかかり続けるため、血管に悪影響を及ぼします。

実際に心血管病(脳卒中や心筋梗塞など)の発症について調べたところ、仮面高血圧の人は診察時・家庭血圧の両方とも高い人と同じくらい心血管病を発症していることがわかりました。

仮面高血圧は、治療が必要なタイプの高血圧です。

喫煙者、精神的ストレスの多い人、身体的活動度の高い人、アルコール多飲者は仮面高血圧になりやすいので、意識的に家庭や職場で血圧を測るようにしましょう。

仮面高血圧は、高血圧と診断されて薬を服用している人にも当てはまる場合があります。その場合は治療が不十分であることを示しています。

高血圧治療は24時間にわたって正常血圧であることが望まれます。

診察時の血圧が正常でも、早朝などそれ以外の時間帯で血圧が高い場合は、かかりつけ医とよく相談し、あらゆる時間帯で正常血圧となるよう取り組みましょう。